ビブラート
ビブラートの種類や出し方については本やネット上の文章、動画などあらゆる媒体で学習できます。
しかし、歌手の特徴を挙げていく内にビブラートがポイントとなる場合があり、その都度そのビブラートについて書くのもなんなので、ここでビブラートの種類や出し方を書きます。
ビブラートの種類
- 連続母音ビブラート
- 音程変化ビブラート
- ちりめんビブラート
連続母音ビブラート
連続母音ビブラートの例
- 「ひぃろせがわ・あ・ぁ・あ・あ…」
- 「なーがれるきしべ・え・ぇ・え・ぇ…」
とビブラートが掛かっていませんか。
語尾の母音を揺らす分だけ発声しています。
このような同じ母音を連続して出すようなビブラートが、連続母音ビブラートです。
連続母音ビブラートの出し方
動画で見た方が分かりやすいかと思いますので、下記動画を参照してください。
一応文字でも記載しておきます。
①「あ~あ~」と呆れたように発声する
「あ~あ~、やっちゃた~」「あ~あ~、まったくもう」みたいに。
②「あ~」を増やす
「あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~」
③「あ」と「あ」の間の「~」をどんどん短くする
「あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あ~あぁあぁあぁ」
ビブラートになりましたでしょうか。
間の「~」の調節具合で、例で挙げたさとう宗幸さんのような途切れ途切れなビブラートから、ビブラートの出し方動画の鋼兵さんのような繋げたビブラートまでカバーできます。
できるようになったら、「あ」以外の母音でもビブラートができるようにを練習しましょう。
音程変化ビブラート
音程変化ビブラートの例
- 00:34「おこってぇ ⤴ え ⤴ ぇ ⤴ え ⤴」
- 01:00「ヘッチャラァ ⤴ ア ⤴ ァ ⤴」
- 01:07「かっぱぁ ⤴ あ ⤴ ぁ ⤴ あ ⤴」
など、揺れる音が基音よりシャープ気味になっていないでしょうか。
ちょっと微妙なところですが。
音程がシャープ気味の例のみを挙げましたが、フラット気味のものも音程変化ビブラートです。
つまり「基音+基音とは違う音程」で構成されたビブラートは音程変化ビブラートです。
半音違いに限らず全音違うビブラートも音程変化ビブラートと言えます。
音程変化ビブラートの出し方
これといった裏技的な出し方はありません。
下記に音源を貼りますので、音程とスピードを合わせて「あぁあぁあぁ」と発声してみましょう。
「あ」と「ぁ」の間はできるだけ滑らかに発声しましょう。
Level1
救急車のサイレンのみたいですね。
Level2
まだ余裕ですね。
Level3
このあたりから発声にバラつき、ブレが出てくるかもしれません。
Level4
ここまでできれば充分です。
音源のサンプルは基音+基音の半音下の音程変化ですが、基音の半音上のビブラートも同じように段階を経て練習しましょう。
Level4 の速度まで出せた方は分かるかと思いますが、実は音程変化ビブラートと連続母音ビブラートはほとんど差がありません。
先の鋼兵さんの動画でも、母音を滑らかに発声した場面で「音下がってんじゃん」とコメントされています。
試しにできるだけ滑らかに連続母音ビブラートを発声しながら、チューナーで音程を調べてみてください。
恐らく基音+基音の半音下になっているかと思います。
ということで音程変化ビブラートの存在意義は、基音+基音より上の音程のビブラートが主となりそうです。
ちりめんビブラート
ちりめんビブラートの例
先の 2 つより波の周期が細かいビブラートです。
俗にちりめんビブラートと言われています。
このちりめんビブラートはボイトレ界隈では発声が安定しない、そもそも聴いてて不快、などの理由で悪いビブラートとされることが多いです。
しかし安定感は練習を積めばある程度は解決できますし、不快かどうかは主観的なものなので、練習する価値はあると思います。
ちりめんビブラートの出し方
① 声帯を閉め気味にしてちょいハスキーボイスを作る
ハスキー具合は軽~くで良いです。
「アーーーーーーー(サラサラ~)」
② 呼気をできるだけ少なくして、声を出して小刻みに笑う
口角を上げて息を浅くしたような、乾いた笑いを出してください。
「ア・ア・ア・ア・ア・ア・ア・ア・ア・ア www」
小刻みな笑い声はできたでしょうか。
ちりめんビブラートを体感できたかと思います。
できてしまえば、なんてことない簡単なビブラートですね。
しかし、これまたできてからわかることではありますが、ちりめんビブラートでロングトーンを出すのはかなり難しくないでしょうか。
例の山崎さんも、サビの終わりのロングトーンではあまり掛けられなかったり、苦しそうにしている様子がうかがえます。
ちりめんビブラートの原理は声帯の高速開閉です。
ロングトーンは安定した息の供給が必要ですが、この高速開閉により息の量や勢いが安定せず、結果ロングトーンでは難しくなるのではないかと思われます。
逆説的に言えば、ちりめんビブラートは語尾にちょろっとかますぐらいの方が向いています。
そのためか、ちりめんビブラートは「ショートビブラート」とも言うそうです。
その他ちりめんビブラートのデメリットとしては、
- 揺れ幅の大きさやスピードを調節できない
- ダイナミクスをつけにくい
などがあります。
ちなみに
ちなみに ①
ビブラート中、揺れ幅に合わせて顎をガクガクさせる人がいます。
02:20 ~や 03:27 ~辺りが分かりやすいです。
ビブラートに合わせて顎を動かす、というよりは顎を動かすことでビブラートを掛けているようにも見えます。
デーモン閣下やホイットニー・ヒューストンさんなんかも、こうしたビブラートを使っています。
考えられる効能ですが、波の深いビブラートにしやすくなるかと思います。
反面顎周りに力が入ってしまうので、発音が崩れやすくなったりスタミナの消費が大きくなることが考えられます。
ちなみに ②
ちりめんビブラート並みの速さで、ダイナミクスの変化が滑らで、周期の波が深いビブラート使いも存在します。
このビブラートの出し方ですが、正直なところ私はかりません。
ちりめんビブラートの修練を積んだ結果なのか、はたまた別のビブラートなのか…。
個人的なことを言えば、この手のビブラートを偶然に何度か体感したことがありますが、今一つ方法論が掴めずにいます。
何度か体感した際の共通点としては、勝手に掛かる感じでした。
プロの歌手の発言やネットの書き込みなどでたまに「ビブラートは掛けるものじゃない、掛かるものだ」という言葉があります。
もしかしたら、悟りの境地に辿り着かないと会得できないビブラートかもしれません。
実際のところ、この手のビブラートができる人は歌が上手い方が多い印象があります。
結局何が言いたいかと言うと、どなたかこのビブラートの出し方を教えてください。
まとめ
- 母音を連続で発声する → 連続母音ビブラート
- 基音+基音より下の音程(or 上の音程)→ 音程変化ビブラート
- ちょいハスキー+小刻み笑い → ちりめんビブラート