井口理の発声
井口理の特徴
- 軽やかハスキー時々ノイズ
- 語尾ウィスパー
- 超細かビブラート
- 美しい裏声
軽やかハスキー時々ノイズ
声質は重々しくなく、くぐもった感じでも野太い感じでもなく、軽やかな印象です。
なので喉仏は下げずに(かといって上げずに)、放置しましょう。
ならびに全体的に息をまとったような、ハスキーな性質があります。
ハスキーさを出すために、声帯を閉め気味にし、呼気を通常よりほんの少し多めに出しましょう。
また、ハスキーさを通り越して、時折ノイズが鳴っています。
上記のテイクにおけるノイズは微弱な場合が多いですが、下記動画の転調後の頭はパワフルなノイズが聴けます。
ノイズは仮声帯が閉まることで鳴りますが、井口さんの場合は常にノイズが鳴っているわけではなく、高音域や声を張ったときなどに鳴っています。
そのためノイズを鳴らしたい部分で仮声帯を意図的に閉めるのではなく、常に仮声帯にほんのり力を通しておくぐらいで良いかと思います。
そうすることで、高音域や声を張ったときにノイズが鳴りやすくなります。
語尾ウィスパー
- 「貫いて この心を 思い切り突き刺して」
- 「火照ったままで 知らぬふりはもうやめて」
などなど、基本的に語尾辺りがウィスパーになる場合が多いようです。
ウィスパーは呼気を増やすのもありですが、声帯を開くだけでもウィスパー感が出ます。
さらに意図的に喉仏を少し上げることで、よりウィスパーになります。
なので呼気量や声帯の開閉具合や喉仏の位置などを調節して、ウィスパー感を演出しましょう。
また、語尾ウィスパーは語尾をウィスパーにすることはもちろんですが、語頭をはっきり発音することでメリハリが効き、語尾ウィスパーがより生きます。
「語尾をウィスパーすればいいんでしょ」と考えるだけでなく、語頭と中間の強弱も意識すると、よりよい語尾ウィスパーになり、より井口さんっぽい歌い方になります。
超細かビブラート
サビ終わりの「薪をくべろーーーイェ~~~イェ~~~⤵」や、その後の裏声のフレーズで、非常に細かいビブラートが掛かっているように聴こえます。
また、上記2か所に限らず全体を通して語尾に一瞬だけさりげなく掛かっている場合が見受けられます。
このビブラートは、
- 波の周期が超細かい
- 波の掘りが浅い
以上の特徴が見受けられます。
なので井口さんのビブラートは、俗に言うちりめんビブラートかと思われます。
ちりめんビブラートの出し方は下記ページに記載しているので、よろしければご参照ください。
美しい裏声
井口さんを語る上で裏声の美しさについては避けて通れません。
上記の白日における裏声は大きく分けて、
- 息っぽい裏声
- 息っぽくない裏声
以上の2種かと思います。
2種の違いは息っぽさの含有量によりますが、この息っぽさは声帯の開閉具合で調節できます。
単純に声帯をガバっと開けば息っぽい裏声になりますし、閉じていくほど息っぽくない裏声になります。
また、共通して男声っぽさの少ない中性的な響きを持っているように見受けられます。
少なくともオペラ歌手のような朗々とした裏声ではないですね。
こうした中性的な響きを得るために喉仏を上げましょう。
あとは開鼻するほど中性的な響きが損なわれていきます。
いまいち中性的な声にならないと感じたら、「開鼻しないために閉鼻する」というニュアンスで閉鼻を意識しましょう。
本筋とは逸れますが、自白においてはサビの締めで非常に高い裏声を要します。
非常に高い裏声が出ない、という場合は仮声帯を少し閉める(または力を入れる)と、出しやすくなります(個人的に)
私は学者ではないので理屈は分かりませんが、仮声帯を開いた状態と閉じた状態で発声して比較すると、出しやすさが体感できるかと思います。
次に2種の裏声の使い分け部分ですが、
- 息っぽい裏声→低音域
- 息っぽくない裏声→高音域
以上の分布にあるかと思います。
結論から書くと、意図的に使い分ける必要は無いです。
この点については、自身が出せる最も低い裏声と最も高い裏声それぞれを発声しながら、声帯の開閉をしてみると分かりやすいです。
恐らく低音域では声帯を閉じにくく、高音域では声帯を開きにくいのではないでしょうか。
言い方を変えれば、高い音を出すに従い声帯が自然と閉まってくるので、結果的に高音域に行くほど息っぽさが減っていき、逆に低音域に行くほど息っぽさを帯びます。
なので「ここは低いから声帯を開こう」「ここは高いから声帯を閉じよう」と意識せずとも良いです。
まとめ
- 語頭語尾間の強弱を意識する
- ビブラートはちりめんにする
- 裏声を出す際は基本喉仏上げ気味