「アタゴオルは猫の森」の感想

(06年11月鑑賞)
「原作の雰囲気を壊さないようCGキャラのモデリングは頑張ってる。でもお話しが・・・。説明不足で独りよがり感が強い。」監督:西久保瑞穂。出演:山寺宏一、ほか。

ますむらひろしの名作漫画をフルCGアニメーション化した作品。正直なところ誰がターゲットの作品なんかよーわからんかったです。原作を読んでいなけりゃワケが分からないし、あの名作を読んでいればわざわざ見る必要のないレベルの出来だし(^_^;)。はっきり言っちゃいます。恐らく楽しめたのは「とりあえずヒデヨシ(主役のデブ猫、声:山寺宏一)が動いてる様を大画面で見る事が出来ればただもうそれだけで大満足。細かい事は気にしない!」というタイプの原作ファンだけだったのではないでしょうか。
キャラクターの造形自体は原作の味を壊さないようにとてもよく頑張っていたと思います。しかし、編集のまずさでつながりが悪かったり、ゴチャゴチャと分かりにくい画面が多かったり、演出パターンがマンネリだったり、色々と不満があります。あー、カメラワークもイマイチだったなぁ。

しかし、何より一番の問題はキャラや世界観の説明が全く出来てない事でしょう。原作の深くて豊かな物語世界はどこにいったの〜、という感じ。結局ワケの分からない世界でワケの分からない主人公たちがワケの分からない敵勢力と戦ってワケの分からない理由でワケの分からないまま決着がつく・・・って印象。

そんな感じで大切な情報が欠落気味なのです。それなのに逆にセリフは説明過多と言いますか・・・。マズイ事になんでもかんでもセリフで説明しちゃってるんですよ。しかもその説明がことごとく失敗、あるいは逆効果をもたらしてる。せっかくの崇高なテーマさえまんまキャラクターにしゃべらせちゃって観客をシラケさせてるとか。例えばですが悲しさを表現したいシーンがあったとして、そこで主人公に「悲しいなあ」なんてセリフで説明させるなんて下の下じゃないですか?。そんなところが多かった印象なんです。せっかくあそこまでキャラをモデリングしてるんだから、動きとか表情とか演出とかカメラワークとか、それらを巧みに使ってセリフ以外で語らせて欲しかった。そしたらもっと感情移入できたのに。生命讃歌もあまりにストレートにセリフで言ってるからのめりこめなかったんです。素直な子供たちにはダイレクトに響くかもしれませんが・・・。効果的でないセリフで全部言われると薄汚れたオッサンには小っ恥ずかしいだけなんです。

ちょっと辛口になりました。

でも色々頑張ってるとは思うんです。今年見た「アギト」「ブレイブ」「ゲド」などに比べたらよっぽどマシです。それらと比べたら全然見れます。ただプロモーションビデオとかビデオクリップとしてならまだしも、一本の映画作品として考えるならエンタテインメントとしても芸術作品としても出来はイマイチだった。そういう事です。

ちなみに原作は是非アタゴオル物語から読んで欲しいです。で、アタゴオル玉手箱、アタゴオルは猫の森、と。これがまっとうですよね?。多分。いや。そこまで言うならヨネザアド物語からか(笑)。ま、どこからよんでも大丈夫な作品だとは思います。

しかしやっぱり映画は映像より中身だなぁ・・・。中身がしっかりした映画は映像しょぼくても面白い。最近その逆が多くて残念です。・・・あ、これはアタゴオルの感想というより最近の大作映画への感想です(^_^;)


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投稿者: hassei 日時: 2006年11月04日(土) 09:49

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記事「「アタゴオルは猫の森」の感想」へのコメント▼

発生さんはアタゴオルは持ってないんですか?
持ってたら今度貸して~!!
ちょっと観に行こうかと思っていた作品名だけにこの酷評は残念ですね。
まあゲドと同じくどんなにダメなのか観に行くのもいいかも・・・(笑)

投稿者 山羽 | 2006年11月04日(土) 11:02

アタゴオルもってないんですよー。残念。
ちなみに見にいくなら早くしないとそろそろ終っちゃいますよ。

そしてゲドほどひどくはないです。
まだ全然見れるレベル。
ただ好きな作品だけに反動で不満ばっかり書いちゃった次第で。
あと一息なんです。
がんばれー。

投稿者 発生 | 2006年11月04日(土) 19:31

はじめまして。前から読ませていただいていましたが、書き込むのは初めてです。確か以前、70年代フォークの検索でこちらにたどり着いたような…私自身は80年代パンクNW世代です。映画も好きです。よろしくお願いします。
ますむらひろしは「マンガ少年」時代から好きで、そのあおりで10歳の娘も大ファンなんです。だからわざわざ初日に観にいきました。感想は、発生さんとまったく同じです…
もとより、あの静かで幻想的でサイケな世界を3DCG化する意味ってあるのかなあ、と不安を抱いていたのですが、案の定。世界観が、まったく違う。あの世界に、わざわざ善と悪の対決や命の大切さなんていうテーマを持ち込む必要があるのかな?いや、そうでないと今は制作にGOが出ないのかな…なんて、いろいろ考えてしまいました。
何も起こらない(深い意味で)ことが、アタゴオルの一つの魅力だと思うんですが、どうでしょう。
『銀河鉄道の夜』が大好きな娘も、ちょっと期待を裏切られたようです。カールスモーキーの音楽で、もう「ギブ」してました…

投稿者 ショコポチ | 2006年11月05日(日) 16:23

トンマッコル見てからこれみたら、
ああ、生きていくのに大切なことって
そんなにたくさんないんだな、シンプルでいいんだよなって
思えるんですけど、
それにしても物語を知らないもんにとっては
それでええんかいというストーリーで
そんな主人公ありかよっていうツッコミがしたくなるものでした。
小説のファンはファンで熱心なひとやったら
おこるでしかしという出来。
見てないひとにアタゴオルの世界を説明するには
ちょっとしんどい作品だったような・・・。
辛口ですいません。

投稿者 Ageha | 2006年11月05日(日) 17:59

●ショコポチさん
はじめまして!。以前より読んで下さっていたそうで本当に嬉しいです!。ウチって70年代フォークでもひっかかるのですね。知りませんでした(笑)。ちなみに80年代パンク、ニューウェイブも大好きです。ピストルズとかクラフトワークとか今聴いててもワクワクします。そうそう。今年5月に公開された「レッツ・ロック・アゲイン!」という映画はクラッシュのジョー・ストラマーのドキュメンタリー映画だったのですがとても良かったです。今年観た映画の中でも上位の出来です!
わぁショコポチさんは「マンガ少年」時代から!。筋金入りのファンでいらっしゃるのですねー。わしは主に単行本から入りました。それにしても今回の作品の感想に同意を頂けてホッとしています。結構否定的な事ばかり書いたのでファンの人から怒られるんじゃないかな?と内心ドキドキしてたのです。
世界観が違っても名前ばっかりアタゴオルだったとしても、映画として面白い作品となっていたらまだ許せるんですが、あれではお世辞にも良い出来とは言えませんよねえ。今年一番お気に入りの映画は地味で淡々としている「かもめ食堂」です。でもさすがに最初は売れ線的でない内容に単館でごくごく小さな規模での公開に限られていたんです。でも口コミでうわさが広がり全国公開&異例のロングランヒット!・・・アタゴオルも最初からヒットを狙ってあんなにせずにかもめ食堂みたいな地味な線を狙っていって欲しかった!。そしたらやっぱりGOサイン出ないんでしょうね(T▽T)
娘さん、気の毒でした。

●Agehaさん
こんにちは!。TB&コメントありがとうございますm(__)m。いやぁ。辛口なんてとんでもないです。まったくその通り!と思いました。
ちなみにトンマッコルは楽しく観賞できました。なるほど、いっぱい食う事。確かに生命力のみなもとです。結局イノシシのお陰で仲良くなれたワケだし。衣・食足りて礼節を知る、とはよく言った物です。しかしヒデヨシみたいに闇雲にベニマグロを連呼されても面白くもクソもありません。Agehaさんが感情移入できなかったのも当然と言うものです。
でも原作は映画と違って全然良いのでいつか読んでみて下さいねー。

投稿者 発生 | 2006年11月06日(月) 00:53

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