「Vフォー・ヴェンデッタ」の感想

(06年5月鑑賞)
第3次世界大戦後の全体主義で統制された近未来のロンドンが舞台。政府に対しテロ行為を続けるアナーキスト、謎の男"V"と彼と不思議な縁で行動を共にする事になる女性イヴィーの物語。"V"の目的とは一体何なのか?。原作・アラン・ムーア/画・デーヴィッド・ロイドによるコミックの映画化。監督はマトリックスシリーズで助監督を務めたジェームズ・マクティーグ。製作・脚本はウォシャウスキー兄弟。出演はヒューゴ・ウィーヴィング、ナタリー・ポートマン 、ほか。

かなり楽しめました。
恥ずかしながら1605年にガイ・フォークスが起こした「火薬陰謀事件」についてまったく知識がありませんでした。イギリスでは一味が逮捕された11月5日がガイ・フォークス・デイというポピュラーなお祭りの日になってるんですね。Vがしているマスクはガイ・フォークスを模したものなんだとか。そのあたりを詳しく知ってればさらに楽しめたかもしれません。わしは見終わった後でものの本で調べてやっと知りました。でも何も知らなくても充分楽しめる内容です。もちろんセリフにマクベスやハムレットやリチャード三世などシェークスピアからの引用も多用されますし色々な事に詳しいほうがより楽しめるのは確かだと思います。しかし、詳しかったらさらに楽しめるけど何の知識もなくて素で観ても充分面白い・・・コレって一本の映画作品にはとっても重要な事ですよね。その辺きっちりしてるところがこの作品はエライです。余談ですが知り合いの若者は劇中のセリフにエドモン・ダンテスの名が出てきて「誰それ?」と意味が分からなかったみたい。それはモンテ・クリスト伯と言ってね、復讐の鬼でね、と説明してあげました。そっかー。最近の若者はデュマなんて読んでないのね(^_^;)

人によっては分かりにくいところも多かったみたいですけど、わしはうまくまとめられてすっごく分かりやすい作品だったと思います。例えば原作でアダム・スーザンって指導者が出てくるんですけど映画ではアダム・サトラー議長という何のメタファーか一目瞭然なキャラクターに置き換えられて表現されていたんです。そりゃあ分かりやすいですよ(笑)。ただその関係上かコンピューターシステム「Fate」に関する要素をバッサリ切っちゃってるわけですが、それもまた良し!。原作がある場合、一本の映画作品にまとめるのって並大抵の作業じゃないと思うんです。あんまりうまくいってるとは言い難いナルニアを観た後だったから余計にそう思いました(笑)。うまくまとめていたVフォー・ヴェンデッタ 万歳!(ちなみにVフォーの原作は映画を見終わった後で読みました)

音楽の使い方も好きでした。Vの隠れ家のジュークボックスで流れるジュリー・ロンドンの「クライ・ミー・ア・リバー」とか良かったですね。ローリング・ストーンズの「ストリート・ファイティング・マン」が流れてきた時なんぞ劇場の暗闇の中で思わずガッツポーズしちゃいました。いや、マジで。あと作品全体を通して各所に「V」や「5」が象徴的に使われるのですが、あるシーンでベートーベンの運命の第一楽章が流れるんです。もちろん運命はシンフォニーNo.「5」の事。そしてアマチュア無線などをかじってる者(わしは旧電話級ですが・汗)にはピンとくるんですけど「ジャジャジャジャーン」はモールス信号で「トトトツー」・・・すなわちアルファベットの「V」なんです。
さらに何と言っても一番効果的に使われていたのはチャイコフスキーの「1812年」でしょう!!。過去にもクラシックを効果的に使った名作は多々あります。その代表格は「2001年宇宙の旅」でしょうか。今でもリヒャルト・シュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」を聴いても本当のタイトルより「あ、2001年宇宙の旅だ」と思う人がかなりいるんじゃないでしょうか。他にも「時計じかけのオレンジ」のベートーベンの第九とか、「ベニスに死す」のマーラーの第五とか。この「Vフォー・ヴェンデッタ 」のチャイコフスキー「1812年」もそーゆーレベルに達するくらいの素晴らしい選曲だったと思います。

ま、お話し的には権力とか圧政とかファッショとか復讐とかテロとか無政府主義とかゲイとかマイノリティとか色々あるんですけど、あまり難しく考えなくても素直に楽しめるエンターテインメント作品になっていたと思います。

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投稿者: hassei 日時: 2006年06月17日(土) 00:37

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トラックバック時刻: 2006年12月17日(日) 11:30

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